通常、ニシノカオリは6月10日頃、農林61号は、少し遅れて6月15日過ぎに収穫ができるようになります。
その間たった5日ですが、実はここに大きな問題が。

「農林61号の収穫時期は入梅と重なってしまうことが多いんです。穂が雨に濡れてしまうと、食用として使い物になりません。麦は酵素活性が非常に高いので、一度水に濡れてしまうと、味も質も変わってしまいます。さらに、穂発芽といって、収穫前に出芽してしまうことも。発芽の際に、デンプン質が栄養分に変わってしまうので注意が必要です」
農林61号は、主にうどん用として日本全国で栽培されている品種。育てやすく質も非常に良いのですが、この収穫時期が最大の問題なのだそうです。

黄金色に染まる、ニシノカオリの畑の様子
昨年は、こんなに立派に成長しました


では、ニシノカオリはどうでしょうか?
「ニシノカオリは生育時の問題は少ないですよ。ただ、製粉時に問題が。フスマが取りのぞきにくいという特徴があって、白い状態になるまで製粉すると、歩留まりは約40%になってしまうんです」
半分以下になってしまうなんて、もったいない!

さらに、パン用として人気の高いナンブ小麦には別の問題があります。
「ナンブ小麦はかなり背が高くなるので、倒れやすいという欠点があるんです」
グングン成長しても、収穫前に倒れてしまっては台無し。
帯に短し、たすきに長し・・・。人間にとって都合のいい小麦を見つけるのは、なかなか難しいようですね。