テーブルの上にずらりと並んだパン、パン、パン!
昨年収穫した神奈川県産のニシノカオリと農林61号で作っていただいたパンが並びます。想像以上のパンの数にパナデリアも嬉しい悲鳴。
お忙しい中、ご協力いただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。

ずらりと並んだパン!
同じ小麦を使っていても
驚くほどその表情は個性的です



● 「ラ・ピニヨン」松井さん

シェフのコメント
「ニシノカオリと農林61号を半々の配合ですが、粉の味がよくわかるようにと、かなり試行錯誤しました。特に違いを感じたのは、吸水。どんどん入ってしまうんですよね。苦労したのは、ガス保持力が弱いところです。ゼーレンとは、ドイツのパンで、粉、酵母、塩、水だけのシンプルな配合で作ります。水分が非常に多いため、生地は成形せず、リュスティックのようにカットしています」


◆ カンパーニュタイプとゼーレン風パン
(農林61号とニシノカオリを1対1で配合)
モチッとして、しっとりした食感。
味わいはさっぱりしていて、生地に甘みを感じるというコメントも。ゼーレン風は特にもっちり感が強く、やわらかい食感。粉の雑味がほどよく抑えられ、誰にでも食べやすい味わいでした。


● 「レジオン」 藤巻さん

シェフのコメント
「今までの国産小麦とはちょっと勝手が違って難しかったです。吸水は72%で、ほかに玄米と黒酢を入れています。粉の味は、好きだしおいしい。パンとして充分使えると思います」


◆ 玄米入りパン
(農林61号100%、ニシノカオリ100%の2種)




見た目はほとんど同じですが、色あいに少し違いがあります。炊いた玄米のしっとり感が、パン生地の食感とよく馴染んでいます。農林61号は、甘みがしっかりとあり、力強い味わい。ニシノカオリは、フスマの香りが強く、やや個性的でした。


● 「パン焼き人」 安井さん

シェフのコメント
「上は10穀入りで、下はきな粉入りの生地にしています。農林61号を使いましたが、20%はゴールデンマンモスをブレンド。時間がなかったので安全策を取りました。きめの細かいカステラのような生地にしたかったので、あえて吸水を少なく二次発酵のみ、さらに叩いて空気を抜いています」


◆ 10穀米入りパン
(農林61号使用)
細かい気泡とやわらかい食感。口どけがよく、パンというよりは塩味のカステラのよう。和風のだしのような風味と旨みがあり、和食や日本茶に合いそうな変り種パン。たっぷり入った雑穀の食感も楽しい。


● 「プルクワ」

◆ カンパーニュ
(ニシノカオリ100%)
今回はシェフの神田さんに代わり、スタッフの河辺さんが出席。粉はニシノカオリ100%。ルヴァン種で発酵させた生地は酸味のあるやわらかい味わい。大きな気泡があり、軽い食感です。


●「足柄麦神 麦師」

◆ 湘南小麦のパン
(農林61号、ナンブ小麦使用)




自身の製粉会社「ミルパワージャパン」の石臼で製粉した湘南小麦(神奈川県産ナンブ小麦と農林61号をブレンド)を使用。シェフの高橋さんによれば、まずは食べやすさを考えたそうで、現段階では湘南小麦100%ではないが、高配合。見た目にも白っぽくて、軽い食感のパンになっています。食べやすくて口どけが良いのに、粉の旨みも感じられ、誰にも食べやすい味わい。


●「シニフィアン・シニフィエ」

◆ ニシノカオリバゲット 神奈川県産 vs 熊本県産
(ニシノカオリ100%)
←写真では見えにくいですが、少し明るい色をした手前が熊本県産ニシノカオリのバゲット。
奥が、神奈川県産ニシノカオリのバゲット
→チェリーなどのドライフルーツ入り。力強い味わいに、ほんのりグラッパが香ります
今回注目だったのがこのバゲット。同じ品種であるニシノカオリを使用し、作り方まで一緒なのに、色も香りも違いました。熊本産は甘いコクがあり、神奈川県産は穀物らしく野性的な味わい。吸水90%という水分の多い配合で長時間発酵させた生地は旨みが濃厚!クラストからは、まるでお煎餅のようなお醤油の焦げた香りが立ち昇ります。


●「カノムパン」

◆ ニシノカオリのパン
(ニシノカオリ100%)
今回は残念ながら欠席でしたが、県産小麦に並々ならぬ関心を抱いているという「カノムパン」。ニシノカオリ100%の生地はかなり目が詰まり、どっしりと重量感のあるもの。ヒキがなく、口の中で崩れるような食感です。穀物らしい味わいと爽やかな香りがあり、食べ応えも十分。