丈夫で手が掛からない。その上、土壌をきれいにしてくれる力もあるし、幸い神奈川県には遊休農地もまだまだある。しかも、おいしいパンができるなんで、まさに言うことなし!"これからはもっとたくさん作ってください!"と、お願いしたくなりますよね。

ところが、そう上手く行かないのが、日本の現状。特に神奈川に多い小規模農家の場合、国の補助の対象外となるケースが多く、種代さえも出ない状況なのだそうです。では、いったい、どういう方が作っているのでしょうか?

「息子が農業を継いでくれたおかげで、時間に余裕が生まれました。昔食べた、すいとんやうどんを食べてみたいと、7,8年前から小麦の取り組みを始めています。地域に根付いてくれればいいなぁと、静かに願っています」
と、今回初参加の青柳さん。

生産者の田代さん(左)と青柳さん(右)


さらに、待っていても仕方がない!と、田代さんのように自治体を結成する生産者もいます。
「田代さんは平成16年に『さがみ地粉の会』を結成。以来、小麦を中心に伝統作物の復活や遊休農地の解消に努力されています。助成金を頼りにせずに、加工や販売を行ってきたこのスタイルは、これからのモデルケースになるでしょう」
と山田さん。

生産者の藤本さん

それから、相模原と山梨の県境にある津久井で小麦栽培を進めている藤本さんも駆けつけてくれました。
ところで、津久井はおいしい大豆が採れることで、最近注目されている場所。大豆で地産地消に成功しるのに、あえて小麦を始めた理由とはいったい?

「津久井は、山間地なので、農地が荒れるとサルが来てしまいます。それをなんとか食い止めようということで、大豆を作るようになりました。ところが、大豆は続けて栽培すると、連作障害が起きてしまいます。そこで、小麦と交互に育てることになりました。主にアヤヒカリを作っていますが、パンに良いということで昨年からはニシノカオリも育て始めています。せっかく育てたものだから、何か有効な利用法がないかと考えているところです」