第1回:国産小麦
第2回:酵母使い

応用コース最終回のテーマは、ライ麦パンです。
小麦100%の白いパンに比べ、まだまだ少数派のライ麦パン。旨みが強く、味わい深いライ麦にはファンも多いのですが、実際はバリエーションが少ないのが現状です。そこで、今回は森先生のスペシャリテを教えていただくことに。マッシュポテトとライ麦の水煮を使う、なかなかユニークなパンということですが・・・。
さて、それでは今回もよろしくお願いします!


〈作るパン〉
・ロッゲン カルトッフェル
・ミッシュブロート
・クグロフ オ フリュイ



「今日は、“ロッゲン カルトッフェル”というジャガイモを使ったライ麦パンを作ります。ライ麦は粗挽粉だけでなく、水煮も使っているので、ちょっと珍しいレシピだと思いますよ。さらに、マッシュポテトも加えるので、しっとりとした食感になるのも特徴です」
レシピをみると、ライ麦粉粗挽き100gに対して、ライ麦の水煮が400g、さらにジャガイモ(マッシュポテト+ジャガイモダイスカット)が400gという配合。いったいどんなパンができるのでしょう? 楽しみです。



「これが、ライ麦の水煮(プロセスグレーン)です」
プロセルグレーンとは、穀物をつぶ状のまま、加圧加熱処理したもの。ライ麦のほかに、オーツや玄米があり、生地に混ぜるだけで簡単に使えるという優れもの。生徒さんたちも興味津々です。



酵母は、サワー種とイーストを併用。爽やかな酸味を感じる香りです。



ゆでたジャガイモをダイス状にカットしたもの。ランチのポテトサラダになるわけじゃありませんよ!


この粉末は何かと思ったら・・・。ジャガイモをパウダー状にしたものでした。水を注いで練れば、あっという間にマッシュポテトの完成です。これは、味というよりも、生地の食感作りのために使います。


ミキシングスタート。ジャガイモのダイスカットは、生地ができたところに加え、軽くあわせればOKです。



ロッゲン カルトッフェルの生地が完成しました。捏ね上げ温度は16.8℃と低め。ライ麦の水煮が多く、小麦粉はサワー種に入っている分だけなので、生地はボソボソとして、つながっていない感じに見えます



捏ねあがったらすぐに分割。お団子のように丸めます。



20分ほどベンチタイムを取ったら、お化粧をほどこします。
「ヒマワリの種と白ゴマを表面にまぶします。水につけて、まんべんなく付けてくださいね」



ヒマワリの種と白ゴマを付けただけで、ぐっと表情が変わりました。ドイツパンらしくて、おいしそうです。



続いては、ライ麦60%配合の“ミッシュブロート”を作ります。
「ライ麦は、細挽きタイプを30%、粗挽きタイプを30%使います」
フランス粉が40%入っているので、今度は適度につながりのある生地ができました。



30分ほどしたら、分割します。あまりベタベタと手につかず、比較的、扱いやすそうな質感です。



“ミッシュブロート”の生地は、大きななまこ型と白ゴマをまぶしたものの2種類。


「しっかりとした固い生地なので、クープはナイフで入れます。横に3本、こんなふうにしっかりと入れてくださいね」
クープナイフではなく波刃のナイフを使用。普段は、スッスッと表面だけを切りますが、しっかりと深く切り込みを入れていきます。


ランチは、焼き上がったパンとローストビーフのサラダ仕立て。森先生の奥様、葵さん特製のキャロットラペがおいしい!



ランチの後は、ちょっと趣向を変えてクグロフ作り。クリスマスシーズンも近いということで、発酵菓子を代表する"クグロフ オ フリュイ"を作ることになりました。



「中に入れるフルーツは、レーズン、オレンジピール、レモンピール。これをお酒に漬けますが、赤ワインとラム酒を使っているのがポイントなんです。こうすると、深みが出ておいしいフルーツができますよ」
一般的なのは、ラム酒のみで漬け込むスタイル。こういうちょっとした工夫や味作りへのこだわりが、完成度を高めていくんですね。勉強になります。



クグロフ型に入れるだけなので、成形は簡単。丸めた生地の中央に穴を開け、そのまま型に入れて表面をならします。



たくさんのクグロフができました。型にも色々ありますが、これは2〜3人でちょうど良さそうなかわいらしい大きさ。こういうアイテムがあると、パン屋さんの売り場も華やぎそうですね。



クグロフが焼き上がりました!
型からはずしたら、仕上げに刷毛でシロップを打ちます。うーん、おいしそう!


これで、国産小麦のパン、天然酵母のパン、ライ麦のパン、3回のレッスンは終了です。
3回を終えて感じるのは、パンは本当に奥が深いということ。今回も、ライ麦を使うといっても、粉の選び方、食感、合わせる具材など、作る人次第でいかようにも変化するものだと実感しました。
今回森先生に教えていただいた知識を元に、自分の理想とする味と食感に近づけていく・・・。それを次のステップに、ぜひパン作りを楽しんでいただけたらと思います!




今回作ったパン


ロッゲン カルトッフェル


見た目はゴツゴツと固そうですが、中はモチャッとしていて弾力がない独特の食感。ちょっと病み付きになりそうな不思議な感覚です。ライ麦の旨みがしっかりありますが、ジャガイモの効果か意外に食べやすいマイルドな味になっているのも嬉しいところ。食事に合います!


ミッシュブロート



ライ麦60%なので、比較的食べやすいおいしさ。小麦だけとは違う、独特の香りと深みがありながらも、シンプルで嫌味のない味わいです。食事パンとしてはもちろんですが、サンドイッチにもぴったりです。チーズと合わせてもおいしそう。


クグロフ オ フリュイ



小ぶりの型で焼き上げた姿がかわいらしい。フワフワと軽い食感のものが多いパティスリーのものとは違い、生地をしっかりと味わえる骨太なクグロフです。といっても、生地は発酵バターやシュークルバニーユ(バニラ入りのお砂糖)、マジパンなどを配合したリッチなもの。プレゼントにしたら喜ばれること間違いなしです!






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