文・写真 やぎあすか


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私たちが毎日楽しんでいる、(いわゆる)洋菓子やパン。その大半は、ヨーロッパに直接のルーツをもっています。
“そのヨーロッパそのもののルーツ”である国、ギリシャを訪ねてきました!





“ヨーロッパ”という言葉は、ゼウスによって約束の地カナンからさらわれ、クレタ島に連れてこられた少女エウロペに由来しています。 ”神話=古代の人々の祈りが形になった物語”というイメージもありますが、この神話に関しては、東方文明と西方文明の融合、という史実としても読み解くことができますね。
(ちなみにゼウスとエウロペの子供が、”ミノア文明”という言葉でも知られるクレタ最初の王、ミノスです。 彼の存在が、古代ギリシャの神話の世界と、実際の歴史の世界との接点ともいえるでしょう。)

現地に降りたってみると、土地の名前や都市の建築、さまざまなデザイン、そしてもちろん食べ物などに 古代ギリシャ時代から受け継がれた伝統の片鱗がみられ、神話が今もって人々の生活にあざやかな存在感と共に根づいていることを体感させられました。 

次々に支配者が変わっていったときも、平時にも戦時にも変わらず繰り返されてきた、人々の生きる営み。 そのもっとも基本となる”食”。ゆっくりとした時間の流れのなかで受け継がれてきた空気や愛されてきた味とは。

神話・歴史と地続きの暮らしと味のレポートです!






CONTENTS
*目にもおいしいショウウインドウ
*ヨーグルトについて
*スーパーマーケットについて
*パンのこと
*お菓子あれこれ
*チーズについて
*チョコレート事情
*その他印象的な食べものたち
*レオニダス







ドライブスルーのケースに並ぶ、巨大なヴィエノワズリ類にはびっくり!私のアタマくらいの大きさのチョコレートデニッシュや、六芒星のかたちのパイ。甘くないものならば、両手で持ってかぶりつくイメージも浮かびますが、菓子パンとなると・・なかなか想像しにくいです・・・。







ギリシャのヨーグルトは高脂肪でおいしい!との事前情報を得て、あちこち探してみました。

アテネのホテルの朝食(バイキング形式)にて。フタには、木のお匙を通すための穴が豪快に割りあけられています・・・。素焼きの器なのは、水分を切るためのようです。そう、脂肪分が高いというよりは水分・・乳清が抜けているという雰囲気。(私はときどきコーヒーフィルターでヨーグルトを水切りし、粗塩などを添えて食べるのですが、それと全く同じ食感・味わいです。) 
ヨーグルトに添えるのは、ジャム類(苺、いちじく、オレンジなど。いずれも相当糖度が高い)やシロップ漬けの果物(桃、無花果など)。濃い甘さがねっとりかつさっぱりしたヨーグルトとよく合います。

出国前にパナデリアスタッフYに教えてもらった”Total”ブランドのもの。アテネのスーパーで発見!濃いめの蜂蜜とのセットです。期待通りのリッチなコク!それでいて後味はさわやか。このくっきりしたコントラスト、日本の、品よく調整された味わいの”デザートヨーグルト”とは落としどころが違います。
(右の写真の右側のものは、商品名が読めず、恐らくホイップクリームのたっぷり載ったプリンだと思って購入したらミルクライスだった・・というもの。あらゆる言葉の大元であるギリシャ語ですが、現在のそれは音からも表記からもまったく意味が推測できません。 むしろ数学で目にしてきた文字が多いので、すべて古代の錬金術の呪文に見えてしまうのです。そこがまた素敵で、憧れをかきたてられるところなのですが、やっぱりミルクライスはちょっと苦手でした・・。)




こちらはカランバカのホテルの朝食にて。ねっとりと重く、イタリアンメレンゲのような不思議な艶があります・・それほど脂肪分が高いようには感じませんでしたが、長く口の中にとどまるコクはなかなか。






オレンジやりんご、洋梨などの果物類、おいも系、パプリカ系など嵩のある野菜類などはすべて量り売り。アテネの街中のスーパーマーケットも、島のちいさな生鮮食料品店も、同じ売り方でした。自由に育った奔放なかたちが可愛い!