文・写真 やぎあすか


  >>後半の旅、南イタリア編はこちら





CONTENTS
*目にもおいしいショウウインドウ
*ヨーグルトについて
*スーパーマーケットについて
*パンのこと
*お菓子あれこれ
*チーズについて
*チョコレート事情
*その他印象的な食べものたち
*レオニダス



お昼を普通に食べた後、1時〜4時までのシエスタをはさんで、夕食は遅めの時間からたっぷりゆっくり・・というのが、伝統的なギリシャの生活スタイル。 いきおい、朝ごはんは軽いものになります。そこで通勤途中にはこの、胡麻つきのクルーリの屋台が出ています。ニューヨークのドーナツ、ドイツのプレッツェルに近い位置づけといえそうです。味はというと、甘くて香ばしくてかみごたえがあって、シンプルにおいしい! 野良の犬・猫・鳩たちはこぞってこのおこぼれにあずかっています。

ポロス島で買ったこれ、私の顔くらいの大きさがあります。断面は、層ではなくなぜか蜂の巣状の構造。甘と塩のバランスが絶妙で、どちらかというと大味だけれど、やみつきになる味わいでした。









食事の際に添えられるパンは概して水分が少なく、山のほうに行くにしたがってやわらかさが増してゆくように感じられました。






エギナ島の特産品でもあるピスタチオを使ったアイスクリーム。アフェア神殿のそばのお店で売っています。アイスクリーム自体にピスタチオの風味はほとんどない(色もおそらくは人工の緑)のですが、ピスタチオの粒が入っていて、食感と軽い塩気がほどよいアクセントになっていました。上にしぼられたクリームは味にあまり特徴がなかったのですが、ほんのり黄色みを帯びているところから羊乳ベースと思われます。

アラブ方面からの文化の流入を感じさせるお菓子。ピスタチオのアッシェをまぶした、蜜漬け小型パイです。かみしめるとじゅわっと広がるシロップの甘さ・・ “その劇甘っぷりときたら思わずこめかみをトントンたたきたくなるほど”という噂もきいていたのですが、意外なほどすっきりとした甘みで食べやすかったです。フィロもぱりぱり。









サロニコス諸島でも、内陸のほうをドライブした際に立ち寄ったお店でも。至る所で目にしたナッツのクッキーです。平台にどっさり積み上げられ、粉糖を(クッキーが溺れている!と感じるほど)たっぷりまぶされた状態で量り売りにされています。アーモンド版は舌の上ではじける素朴な香ばしさがおいしく、ヘーゼルナッツ版はほろほろとくずれる”ポルボローネの原型”といった風情の味わいでした。



村上春樹さんのギリシャ・トルコ紀行「雨天炎天」にも出てくるゼリー菓子。ラミアという街の特産品です。平台などにひろげられた大量の粉糖の海のなかに華やかな色彩が見え隠れしていました。ぱっと見はパート・ド・フリュイ、食べてみると、日本のあんみつに添えるぎゅうひに近い食感。もったり、ねっとりとしています。前述の村上さんの本の中では、修道院を訪ねてくる巡礼の旅人に供される、疲れを取り除くがつんとした甘さのもの(もとい、”あごがしびれるような甘さ“)として描かれていますが、そのとおり、きわめてストレートな甘さ!!そして、お花やハーブの非常に強烈な香り!!!日本人にとっては、トイレの芳香剤や整髪料、きつめのフローラル系の香水としてなじみが深いものでしょうか・・・。
これをストレートの紅茶と一緒にいただいて、ひろがる香りをじっくり味わうのが正しい愉しみ方だとか。個人的には、濃いめの緑茶が合うように思います。









大量のコーンフレークと豪快な大きさのドライフルーツを、なんらかの蜜でつないでパウンド形(?)に仕上げたもの。甘さも後味もさっぱりとしていて食べやすいのですが、なんだか不思議な構造です。色合いにちょっとアラブの香り。

乳製品に期待ができる国ギリシャ、やっぱり生クリームものを食べなくちゃ!と購入。しかし、生クリームにみえたのは実はすべてイタリアンメレンゲ!表面にはパイくずとたっぷりの粉糖。カスタードクリームはなんともいえぬもったり感・喉に張りつく糊っぽさがありました。そして圧巻はこの大きさ!(約W20×D15×H20cm) かなりヘビーでした・・。