ビオマーケットと諸国名産展


もう7日目だ。フランスに到着してから、ノルマンディーやブルターニュ、ランスと、パリを離れての密度の濃い数日間だった。ショートトリップの間に手に入れた戦利品を、この朝はじめて、部屋でユカコと二人、並べてみた。
まずは、ラ・メゾン・デュ・ビスキュイの大きなクッキーの箱が積まれる。わたしが4箱、ユカコが6箱! そしてカルバドスの瓶が1本ずつ。シャンパーニュメゾンで買ったシャンパーニュも2本ずつ。ランスで買った6客入りのシャンパーニュグラスの大きな箱も忘れてならない。ほかにも、ちょこちょこと購入したお菓子やらが並んで、小さな部屋は文字通り足の踏み場もなくなった。こんなに持って帰れるのだろうかと、二人は一瞬無言になった。が、そのあと、
「ラ・メゾン・デュ・ビスキュイのクッキー、もうひと箱買うべきだったかな」
「うん、そんな気もする」
と言い合ったりもした。だってこれは日本では買えない、本当においしいものなのだ。自分でもたくさん食べたいし、周りのいろいろな人にも差し上げたいじゃないか。
というのも、実は今日、セーヌ川に浮かぶ船の上で、諸国名産展のようなものが行われ、そこにラ・メゾン・デュ・ビスキュイのクッキーも出展されるというのだ。だからまだ間に合うのである。追加で購入できないこともないが、さすがに持って帰れないだろうか。
そんなことを考えつつ、朝のビオマーケットに向かった。今日の夕食は、ムッシュ三宅がここで調達した食材で作ることになっている。ムッシュ三宅は、再び旅にでも出るかのようなキャスター付きの小型トランクケースを持ってきた! 食材購入の気合満々だ。


片側の入り口にあたるところに、いかにもおいしそうなじゃがいものガレットを売っている店を発見。クレープを焼くような鉄板の上に、じゃがいもとチーズをメインにした生地をおたまでのせ、小さなお好み焼きのように焼く。チーズからにじみ出た脂がふつふつと細かい泡を立て、たっぷり入ったじゃがいものせん切りを揚げたみたいな状態にしていて、たまらなくおいしそう! もちろん迷わず購入


マーケットには、野菜、パン、チーズの店もいくつか出ていたし、お肉を売っている店もあった。牛乳とヨーグルトを売る店でムッシュ三宅は大きな瓶入りのこれらを購入した。もちろん、野菜やお肉も。そしてキャスター付きトランクはみるみるパンパンになってしまった!
マダムまゆみは、鶏をロティサリーで焼きながら売る店の前で足を止めた。脂がしたたるむっちりした鶏のグラマラスな様子に魅せられてしまった様子だ。半身で購入し、これはみんなのお昼ご飯になった。
時間があればあるだけ、いろいろな物を買ってしまいそうになる、本当に魅力的なマーケットだ。しかも日曜だけの開催だから、もう来られない。迷ったものはついつい購入してしまうのである。誰もがちゃくちゃくと荷物を増やしていった。


大通りで開催されているマーケットは、端から端まで100mくらい続いている。チーズを売る店は特に人気で、行列が出来ていた

車の中で、マダムまゆみの買った鶏をみんなで分け合って食べたあとは、エッフェル塔のふもとの船の上で開催されていた諸国名産店へ。この名産展ではワインもたくさん売られていて、ムッシュ三宅がボジョレーヌーボーを購入してくれた。今宵はついに飲めるかしらん!


そびえるエッフェル塔のすぐ近く。停泊する船の中はいくつものブースに分かれていて、瓶詰めのパテやワイン、お菓子など販売している。中のテーブルでは川を見ながら食べたり飲んだりしている人もいた