今回は古都歩きの休憩にうってつけのカフェやお菓子、有名なチョコレート店を紹介します。初めて着く町では、まずツーリストインフォメーションで地図を貰うのと当時に、美味しいお菓子屋やパン屋の情報を聞きます。宿でも同じことを聞きます。私の経験からすると、フランスなら地方でもふらふら町を歩けばパン屋や菓子屋の数軒くらい簡単に見つかるのに、北欧では意外と苦労するのです。いわゆるそれら専門店が町中には少なく、フィンランド人に聞くとパンはスーパーに買いに行き、ケーキはカフェで食べるのだとか。だからツーリストインフォメーションで教えてもらわなければ、行き逃したかもしれない、そんなお店が最初に紹介するカフェ・カブリオレです。 新市街側、バスターミナル前の通りに面したカフェ・カブリオレは、19世紀のアールヌーヴォースタイルの建物に1997年オープンした比較的新しいカフェ。入り口を開けると天井が高く奥に広い店内に驚きます。手前からアイスクリーム、お惣菜、キッシュなどのパイ、ケーキとパンのショーケースが一列に配置されています。客席中心にはビュッフェ用のセッティングテーブルがありました。きっとお昼には埋め尽くす程のお惣菜が並ぶのでしょう。直径26cmはありそうなここのケーキは、お花やフルーツ、マジパン細工が施され、何ともレトロな雰囲気! フィンランドの一般的なケーキは見た目大体こんな感じで、かつて日本でも一般的だったスポンジ生地にクリームを挟んで重ね、周囲をクリームやチョコレートで覆ったものや、レアチーズケーキ風のもの、マジパンシートで覆ったものが目立ちます。店員さんにチョイスを告げると一人分にカットしてくれます。先に会計を済ませ、ケーキを受け取るとお皿にソースが添えられていました。このひと工夫がちょっとうれしい。飲み物もセルフサーヴィス、空いている席でいただきます。 |
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カフェ・カブリオレの入り口と看板。ブレツェルのマークがなんとなくパン屋をにおわせるが、表にパン屋の文字は無い。 |
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店内を入り口から見たところ。 |
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ケーキのショーケース。その種類およそ20種。すべて奥の厨房で作られたものだとか。 |
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今やパリ風マカロンはどこでも作っている!? |
選んだのはカルパロ&キヌスキ(クランベリー&バタースコッチ)。キャラメルとクランベリークリームの甘酸っぱい組み合わせ。生地は日本の方が繊細ですが、甘さも程よく、何よりスポンジ&クリームという洋菓子っぽさにノスタルジーを感じます。 |
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フィンランドで焼き菓子の定番といえばオートミールクッキーやキャラメルバー。素朴だけど懐かしいおいしさ。 |
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お惣菜コーナーには、キッシュ類やサラダが並ぶ。 |
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セルフのカフェ&ティーコーナー。オーダー&精算の後は大概お代わり自由。 |
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選んだケーキ〜カルパロ&キヌスキにはヴァニラソースとラズベリーソースが添えられた。大きいけれど、想像より甘さ控えめで食べやすい。 |
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大きなアールの窓から入る外の緑がすがすがしい。 |
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ブルンベリの看板とショップ。 |
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ショーウインドウではムーミンママがチョコレートの紹介をお手伝い。 |
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ショップ限定のハンドメイドプラリネ。中身はキャラメルアーモンド、クリスピーヌガー、モカトリュフル、ラズベリー、シャンパーニュ、オレンジの6種類。 |
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アフリカ人?カップルのイラストがかわいいパッケージのスーッコ(キス)。銀紙に包まれた手のひらサイズのマシュマロチョコの製法は、デンマーク人から伝授されたという。そう言われてみればデンマークのマシュマロチョコ、有名ですよね。 |
旧市街の石畳を一番高いところまで上っていくと、ポルヴォーのランドマークともいえる大聖堂にたどり着きます。その大聖堂の向かいにパステルピンクの木造建築が見えたらそこがピエニ・スクラーテヘダス/リラ・チョコラードファブリッケン。中に入ると、その名の通りまさに‘小さなチョコレート工場’。お客さんが4、5人も入れば動けなくなりそうな売場には、正面にプラリネ(ボンボンショコラ)類、ケーキ、右手にはタブレットやナッツチョコレート、チョコレートドリンク類、バックにはアイスクリームケース、そして左手ガラス越しに厨房を見学できるようになっています。さっと見渡しただけで職人のセンスとこだわりを感じ、すべてを味見したい衝動にかられながらも、例年にない猛暑のフィンランドでチョコレートを持ち歩く勇気はなく、プラリネはその場で食べられる数だけに絞りました。ショーケースをじっくり覗けばフィンランドらしいフレーバー、ブルーベリーやラズベリーはもちろん、黒くて怪しいリコリス、それにずっと気になっていたもう一つの黒もの〜テルヴァがあるじゃないですか! テルヴァ(Terva)とは、木炭を作るときに作られるタールのことで、殺菌作用があり、フィンランドでは石鹸やサウナのアロマに使われるほど馴染のある香り。松の木を燻したようなアロマは、紅茶の香り付けやアイスクリームなど、食べものにも使われるというのだから驚きです。実はテルヴァのアイスリームに挑戦したくてあちこち探したのに見つからず、諦めかけていたところ。ここでプラリネに遭遇し、目を丸くしたというわけです。ザラメ状の粗い砂糖が塗してあるダークで四角いテルヴァのプラリネ、食べてみると、砂糖のじゃりじゃりが未知の世界へ押し進めるリズムとなり、カカオから燻し香があがります。一瞬ガーデニングで使う木酢液が頭をよぎりますが、食べ終わった後にまた戻りたくなるから不思議。今は日本でも燻製がプチ流行り。燻製塩に煙のお料理…それにエスコヤマの小山シェフがDNA京都シリーズで、燻製香とショコラを合わせていましたよね。そう考えるとテルヴァはリコリスよりも親しみやすのでは。 |
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丘の上に建つポルヴォーの大聖堂。右は鐘楼。 |
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ピエニ・スクラーテヘダス/リラ・チョコラードファブリッケンの建物と看板。 |
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タブレット数種類とナッツのチョコレートがけ、ドリンク用チョコレートなどが並ぶ。 |
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右側のガラスケースに並んでいるのがプラリネと焼き菓子。この時は16種類くらい。 |
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窓越しに小さなチョコレート工場の見学ができる。 |
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Peter Westerlund シェフ |
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マスタード入りホワイトチョコレート、それともホワイトチョコレート入りマスタード?興味津々の瓶詰め。 |
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アイスクリームはダーク、ホワイトとリコリス入りミルクチョコレートも。 |
暑かったのでアイスクリームが食べたくなりました。何種類かあるチョコレートアイスの中から選んだのはリコリス入りミルクチョコレートアイス。罰ゲームを自分に課したかの如く、想像以上のリコリス味にガツンッ。リコリスには正直なかなか慣れないですね(苦笑)。それでもアイス自体はなめらかで、ミルクチョコの細かい粒がカリカリとアクセントとなって楽しめました。 ピエニ・スクラーテヘダスを訪ねたのは閉店間際。厨房の後片付けが終わったシェフが売場に現れました。もっとお話しを聞きたかったけれど、最後に写真撮影で失礼しました。ショコラトリー個人店が今はまだ少ないフィンランドでは貴重な一店かと思います。 |
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赤い倉庫を眺めながらのアイスクリームタイム。量もたっぷり食べ応えあり。 |
スイーツ以外にもグルメスポットが多いと言われるポルヴォー。みなさんもヘルシンキを飛び出し、美味しい発見を楽しんでください。 |
◆ VISIT PORVOO(英語) http://www.visitporvoo.fi/en ◆ カフェ・カブリオレ Café cabriole(英語あり) http://www.cabriole.fi/en/index.html ◆ ブルンベリBrunberg(英語あり) http://www.brunberg.fi/en/ ◆ ピエニ・スクラーテヘダス/リラ・チョコラードファブリッケン Pieni Suklaatehdas / Lilla Chokladfabriken(英語あり) http://www.suklaatehdas.com/index_e.htm ◆ 今回の内容に関連するこれまでの記事 その27 古都ポルヴォーとルーネベリタルト http://www.panaderia.co.jp/hokuou/027/index.html その10 フィンランドの立春を喜ぶお菓子。2月5日はルーネベリの日! http://www.panaderia.co.jp/hokuou/010/index.html |