マルタ島の先端からフェリーに乗ること30分。周囲に美しいビーチ、そして内陸部に城塞と遺跡をもつゴゾ島は、マルタ島よりも、さらに時間がゆっくりと流れる場所です。そのため、観光名所へ行くバスでさえ本数が少なく、次のバスが来るまで1時間、なんてこともしばしば。時刻表通りを期待するのは、はっきり言ってナンセンスなのです。とにかく便利さと快適さを追求する東京に暮らすものにとってはかなりのカルチャーショック!・・・なのですが、ゴゾ島の空気に包まれていると、逆にいつもの東京の暮らしがむなしく思えてくるから不思議です。バスを待つ間に運転手さんと交わした会話や、何気ない周りの風景、そしてやっとたどり着いた時の感動・・・。そんなゴゾでは忙しさの中で見失ってしまった大切なものが見つけられるような気がします。

マルタ島同様ゴゾ島は、夏の間は雨がほとんど降らず猛暑が続きます。そんな時期に訪れたため、どこも岩肌がゴロゴロと剥き出した、貧しい土地のように感じましたが、実は農業が盛んなところ。甘みのあるジャガイモや味の濃いトマト、そしてケイパーやサボテンの実などがとれるようです。ちなみに、ゴゾ島やマルタ島の色々なお店で見かける"ゴゾチーズ"は山羊のチーズ。岩場が多い土地の性質を考えると、きっと牛よりも山羊の方が多いのでしょう。




ゴゾ島の中心街ヴィクトリアの丘の上にそびえる城塞チタデル。かつて、海賊の脅威から身を守るため、夜になると島民はこの中に避難し、扉を閉めたのだそうです。現在では、大聖堂を囲むようにお店が並んでいます。
マルタストーンを積み上げた城壁はかなり厚みと高さがあり、頑丈そう。
上からは、街全体が見渡せるようになっています。
城壁内にある大聖堂。マルタ島と同じく、外観は質素に見えても、内部はかなり豪華な装飾が施されています。


「タ・リカルドゥ」

チタデル内にあるお店。名物のウサギのシチューやゴゾのチーズなどが楽しめます。それから、ワインやハチミツ、ケイパーなどの特産品もあるので、ちょっとしたおみやげ探しにもぴったりです。


● ゴゾチーズ






山羊のチーズ、"ジュベイネット"はプレーンのものと、ブラックペッパーをまぶしたものの2種類を良く見かけました。オリーブオイルに漬けて常温で販売されていため、お店の方によれば「半年は大丈夫」とのこと。
熟成とともに水分が抜けるのか、断面には少しスが入り、かたく締まった食感。独特のクセがあり、こうやってトマトや玉ねぎ、ケイパーやオリーブなどを添えてワインと一緒にいただくとおいしいです。ちなみに、右側の写真はこの日の朝作られた出来たてホヤホヤの山羊チーズ。お豆腐のようにやわらかくプルプルした食感で、ミルキーなやさしい味わい。フワッと山羊の香りがします。




〈マルタ島〉
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