クープ・ド・モンドの日本代表を決める国内予選。予選といえども、ここで優勝することは日本の洋菓子界のホープとして認知されることでもあります。今回の応募状況は以下の通りです。

A部門(飴のピエスとアントルメグラッセ): 応募総数20名 → 決勝進出12名
B部門(チョコレートのピエスと皿盛デザート): 応募総数22名 → 決勝進出12名
C部門(氷彫刻及びアントルメグラッセ): 応募総数10名 → 決勝進出5名


応募者の所属を見ると、圧倒的にホテルが多いようです。コンクールで必要とされる細工物の技術は通常作るお菓子とは違い、その練習の時間を取るのは大変なこと。ホテルの場合はコンクールに出る職人をバックアップする体制を取っているところもあり、複数名の職人が出場しているホテルもありました。

会場は、東京世田谷の日本菓子専門学校。製菓学校の実習教室が戦場となり、張り詰めた空気のなか黙々と作業を進める選手達。美味しいお菓子を追いかけるパナデリアですが、細工物を作る場面を見ることはめったにありません。技術的な詳しいことはわかりませんが、素人目線にも新しい発見や興味深いことが色々とありました。写真と共にご紹介いたします。


選手は、スポンサー企業のマークの入ったお揃いの帽子とエプロンを着用。とても気になるのがエプロンに隠された、コックコートのネーム。公平な審査を行うため、選手のプロフィールは全く明かされません。顔と名前が一般に知られている方は選手の中でもほんのわずか。「どこの職人さんだろう?」とかなり気になり、それを知る数少ない手段がコックコートなのです。
飴でアントルメの飾りを作っているところ。日本の洋菓子界では大御所である審査員の鋭い視線に、選手は緊張しないのかと心配になってしまいました。審査員の方は、右が六本木ヒルズクラブの五十嵐シェフ、左が帝国ホテルの望月シェフ。
オーブンの中を覗き込むのは、出場者だけではありません。柳シェフ、何か言いたそうですね。また、会場のあちこちで審査員のシェフ達がひそひそ話を。この話をマイクを通してしてくれたら、観戦者にとっては素晴らしい解説になるに違いありません。
チョコレートを色粉で着色している場面。見慣れない道具が色々と使われていました。
チョコレートのピエスで、個人的に注目していたのがこの作品。技術的な詳しいことはわかりませんが、このバランス感覚は素晴らしい!審査員のシェフ達も、自然と集まっていました。
選手はアシスタントも付かず完全な個人プレイ。孤独な戦いを支えるためのお守りをラックにかけている人も。
作業が終了して一安心かと思ったら、作品を審査会場まで運ぶことが、これまた大変。審査員のシェフ達も協力して、無事運ばれました。手伝った審査員のシェフ曰く、「自分の作品を運ぶより緊張するよ!」
審査室に並べられた作品。どれも素晴らしい力作揃いで、一列に並ぶとその存在感に圧倒されます。
審査中の様子。かなり難しい審査だったそうです。辻口シェフ、かなり悩んでいるご様子か?


多くの職人さんに取材をさせて頂いているパナデリアですが、コンクールを1日取材することで、職人さんのまた新しい一面を見られたように思います。5時間という長い時間一つのものを作り続ける集中力、上手くいかない時の唇を噛むような表情、作品が完成した時の満足げな笑み。これらは普段、お話を伺うだけの取材の中では出会うことが出来ない職人さんの一面です。「もっと職人の姿を追ってみたい!」という気持ちを強くし、会場を後にしました。


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